あらすじ
人類は地下に移り住み、機械で便利になった生活を送っていた。ひとりひとりに六角形の部屋が割り当てられ、部屋の中の家具はひじ掛け付きの椅子が一つだけ。日々の生活に必要な食事やお風呂、睡眠に必要なベッドなどは手元にあるスイッチを押すだけで部屋の中に現れる画期的なシステム。コミュニケーションも対面でなく電話やビデオ通話のようなものだけで事足りている。人々は機会を通じてideaの交換や獲得を日々の楽しみにしている。
感想・レビュー
お勧めできる点は内容の濃さもさることながら、55ページほどしかないので気軽に読めるところですね。この書籍で驚いたのが原著「The Machine Stops」が1909年に世に出ていることです。100年以上前から機械が作り出すものを享受しているだけではいけないという反論をしていた先見の明に感服しました。特に印象に残った点は以下3点です。
日々感じている当たり前なことに疑問を持つ大切さ
登場人物は皆、部屋から一歩も出ずスイッチ一つで生活ができてしまうほど便利な世界に住んでいます。そして何もせずともその生活が永遠にに続くものであると信じてしまっています。
これは状況としてはかなり怖い状況で、未来に何か起こっても対処ができないんですよね。そんな恐ろしさを端的に伝えてくれています。だから当たり前のことであっても、少し考えてみることは大切です。もしかしたらそこから面白い発想や日々のちょっとした楽しみが生まれるかもしれません。
なぜ一日が24時間であるのかといった身近な話題から、青紫色は普通に使われているが実は不思議な色であったりと疑問を持とうとすると色々知的好奇心が呼び覚まされますね!
新しいことに挑戦・実行に移す姿勢
主人公の息子は危険を承知で地上へ出ようと試みます。その過程で普通に生活するだけでは知らなかったことを次々と学んでいき鋭い考察ができるようになっていきます。
安定した生活を壊してまで何かに挑戦することはとても怖いことです。私もできる限り穏やかに過ごしたいですから。そんな中でも普段と違うことをしてみることはとても良いことです。都市圏であれば普段下りない駅で降りてみたり、隣の県のホテルに泊まってみたりすると新しい発見もできて楽しいですよ。新しいことをに挑戦していき刺激的な生活を送るのも乙なものかもしれません。
便利になっていく世の中であっても大切にしたいもの
登場人物は皆機械から与えられる生活や楽しみを受け取る生活を続けていきます。また人とのコミュニケーションも部屋から出ることなく行える便利さがあります。
一番大事にしていきたいのはやはり感覚ですね。例えば電車に乗って目的地到着しても、何kmくらいの距離を移動したかは分かっていても、あまり実感は湧かないですよね。実際に徒歩で歩いてみると、一つ隣の駅まで30分かかったりもします。他にも日常に隠れている発見は感覚を砥ぎすまさないとわからないことも多いです。朝に鳴く鳥の声を聴いてどんな種類の鳥なのか、また何種類の鳥の声が聞こえるかは集中しないとなかなか気づけないものです。そんな小さな発見を大事にしていきたいですね。
そんな生活の中に隠れている自然に気づく感覚を養う大切さはレイチェル・カーソン氏の「センス・オブ・ワンダー」にわかりやすく書かれているのでお勧めです。こちらも本文だけならば60ページほどなのでさくっと読めます!
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